居抜き物件の造作譲渡契約書とは|書き方やサンプルを紹介

新しいサロンを開きたいと思っていても、開業資金が不足して二の足を踏んでいるという美容師の方も多いのではないでしょうか。そんな方にとって、開業費を抑えられる「居抜き物件」の活用はかなり魅力的です。
そこで今回は、居抜き物件の譲渡に必要な造作譲渡契約書について解説していきたいと思います。造作譲渡契約書がどういったものなのか、実際の作成方法など詳しく説明していくので、サロン開業を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

造作譲渡契約書とは

サロン開業に向けて、希望にあった居抜き物件が見つかった後に必要になってくるのが、造作譲渡契約書です。造作譲渡とその契約の内容は次のようなものです。

造作譲渡の意味

造作譲渡とは、造作物と呼ばれる、店舗の内装・外装や、厨房機器・排気設備などの設備をそのままの状態で残し、次に物件を利用する経営者へと譲り渡すことです。
造作物を譲渡するので、「造作譲渡」となります。

必要となる状況

造作譲渡が必要となる状況は、自分が経営していた店舗を閉店する時です。
自分の経営していたお店を閉店する時、原状回復つまりスケルトン状態に戻す工事をするとなると、費用がかかります。
一般的には、坪単価5~10万円ほどかかるといわれているので、10坪の店舗なら50~100万円、20坪の店舗なら100~200万円もの費用がかかります。
しかし、造作譲渡をして「居抜き物件」として売却する場合は、逆に売却・譲渡によって利益を出すことができます。
よって、資金の余裕がない人や閉店にかかるコストを抑えたい人にとっては必要なことです。

契約の内容

造作譲渡契約は、新旧の経営者同士で結ばれる契約です。
その契約内容は主に、造作物を譲渡する金額や、リース会社からリースしている造作物を造作譲渡ではなく造作貸与するかどうかなどについてです。
造作物の譲渡に関しては、無償で譲渡するものや有償で売却するものなどを、譲渡項目書と言われる項目書に詳細に記します。

なぜ必要か

なぜこのような造作譲渡契約が必要なのでしょうか。それは、旧経営者と新経営者との間で起こるトラブルをなくすためです。
造作譲渡契約を結ばないまま造作譲渡をした場合、新旧経営者の間で造作物に関する認識の食い違いが出てくる恐れがあります。

認識の食い違いには、まず値段についてのトラブルがあります。
無償で譲渡する造作物・有償で売却する造作物・譲渡せずに旧経営者が引き取る造作物……など、それぞれをしっかりと分類して値段を決めておかないと、後で問題が起きる恐れがあります。

次に、リース会社からリースしている造作物に関してのトラブルもあります。
造作譲渡契約を結ぶ際、リースしている造作物ははっきりとさせる必要がありますが、これを新経営者が認識していなかった場合、造作譲渡されて自分の所有物になったと思っていた造作物にリース料が発生し、そのリース料の支払いに関して問題が発生します。
また一旦、造作譲渡契約が結ばれたら、項目にある造作物は新経営者の所有物ということになります。
つまり、譲渡された造作物が中古品で壊れたからと言って旧経営者に弁償する義務はありません。
しかし、しっかりと契約を結んでいなかった場合、新経営者が旧経営者に対して弁償を求める恐れがあります。

このようなトラブルを防ぐためにも、造作譲渡契約が必要になります。

造作譲渡契約書の書き方

契約内容は理解していてもどうやって作成すればいいのか分からない方のために、実際の譲渡契約書の書き方について解説していきます。

作成するタイミング

造作譲渡契約書を作成するタイミングは、造作譲渡をする造作物のリストを作り終え、譲渡金額や引き渡しの期日を合意のもとに決定した時が良いでしょう。
その時点で作成し、契約を結びます。
造作譲渡契約書を交わさずにいると、直前になって他の物件を利用するといった理由でキャンセルされてしまう恐れがあるので、この時点で契約書を作成しておくことが重要です。

記載する項目

造作譲渡契約書に記載する項目は、記載漏れがないように気をつけて確認しましょう。
必ず記載すべき項目を以下に挙げていきます。普段あまり目にすることのない単語は詳しく説明します。

  • 造作譲渡する造作物のリスト
  • 造作譲渡する造作物のリース契約の有無
  • 造作譲渡料
  • 支払期日、引き渡し期日
  • 支払い方法
  • 支払い遅延金
  • 善管注意義務……善管注意義務というのは、この注意義務を怠った場合に、契約解除・造作物の買取を拒否することができるという義務です。
  • 危険負担……契約後に発生するリスクを、新経営者と旧経営者のどちらが負担するかについてです。
  • 契約解除条件……契約違反があった場合に、造作物の返還を要求することができます。

支払い遅延金については、手付金を先払いにする方法もあります。
また、これ以外にも人によって記載しなければならない項目があったり、個人的に記載したい項目があったりする場合は、契約相手の合意のもとで記載するのを忘れないようにしましょう。

作成方法

造作譲渡契約書の作成は、難しいことではありません。作成方法について解説します。

まず、先ほど挙げた契約書に記載しなければいけない項目を記載します。そして、法的拘束力を持たせるために、両契約者ともに署名もしくは記名捺印をしましょう。
どちらかでも法的拘束力はありますが、トラブルを避けるためには両方しておく方が無難でしょう。これで契約書が作成されたことになります。
なお、造作物の譲渡や売却に関しては課税文書ではないので、印紙は必要ありません。

参考例

下図が、造作譲渡契約書の雛形です。
左側に、売買代金や物件表示について書いてあり、右側に先ほど挙げた、危険負担や失権約款(契約の解除)について記載してあります。

造作譲渡の注意ポイント

造作譲渡において、注意するポイントがいくつかあります。その中でも特に気をつけなければいけないポイントを紹介します。

無償譲渡でも作成する

造作譲渡契約書は、無償譲渡の場合でも作成する必要があります。理由は、新経営者と旧経営者の間でのトラブルを無くすためです。
造作譲渡契約書には、造作譲渡料以外にも、造作物の危険負担をどちらが行うか、契約解除の条件、善管注意義務などについても記載されています。つまり、無償譲渡だからといって譲渡契約書を作成しないと、もし引き渡し期日の前に造作物が故障した場合どちらが修理費を負担するかといったことでトラブルが起きてしまいます。
無駄なトラブルを避けるために、造作譲渡契約書は絶対に作成するようにしましょう。

レンタル品・リース品の取り扱い

レンタル・リース会社から借りている造作物の取り扱いについては注意が必要です。
レンタル・リース品については、レンタル会社やリース会社との契約期間が残っていた場合、造作譲渡後には譲渡された新経営者がその契約を引き継いで料金を払っていくことになります。
よって、そのことを伝えて合意の下で造作譲渡契約書にその取り扱いについて記載しましょう。譲渡する相手がリース品を不要とした場合は、その造作物をリース会社に返す必要があります。

もしそのまま引き継ぐ場合には、新経営者がこれからのリース料を払っていくことになるためそれを考慮した譲渡・売却金額になるでしょう。
レンタル品やリース品に関して伝えないまま譲渡すると、後でトラブルが発生するので気を付けましょう。

故障品の告知

造作譲渡をする旧経営者は、故障品を告知する必要があります。
故障していることを伝えないまま譲渡を行えば、譲渡された方はだまされたと思い、トラブルが発生してしまいますよね。
故障品については、事前にしっかりと告知した上で、処分するのか修理して譲渡するのか、その費用はどちらが持つかなどを決めて契約書に記載すると良いでしょう。

まとめ

新しくサロンを開きたい美容師にとって、店舗を準備する費用は大きなハードルの1つだと思います。その店舗費用を大幅に抑えることができるのが「居抜き物件」の活用です。
しかし、居抜き物件は一からサロンを作るのに比べて費用を抑えられる反面、居抜き物件ならではのトラブルの種も存在します。
そうしたトラブルを未然に防ぎ、つつがなく美容院を開業するためにも造作譲渡契約書はしっかり作成するようにしましょう。


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