「otope」の代表として活躍されている浦さやかさんのインタビュー

【浦さやか】個性を生かしながら新しいことに挑戦

美容師として確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている業界トップの方々へのインタビュー。美容業界でのこれまでの仕事の取り組みや、未来についての展望、美容師さんたちへのメッセージをうかがいました。

【プロフィール】
浦さやかさん。都内のヘアサロンを経て、2005年に「FLOWERS」設立に携わったのち、ディレクターに就任。2015年からは「otope」の代表に就任。独特の感性を生かした斬新なデザインを得意とする。
サロンワークを中心とし全国各地でのセミナーやヘアショー、商品開発など、幅広い分野で活躍中。
Instagram:@urarararaura

なんとなく興味のあった美容の専門学校に進学

「otope」の代表として活躍されている浦さやかさんのインタビュー模様

――現在は「otope」の代表として活躍されている浦さんですが、美容師になったきっかけを教えてください。

浦:はじめは、なんとなくですね。進路を決めるときに、なんとなく美容師の専門学校に行ってみようかな、という感じでした。九州で育ったということで、ファッション関係の学校が美容師の学校ぐらいしかなかったこともきっかけです。だから、熱い思いを持って美容業界に入ったわけではないんです。

ただ、ずっとファッションやヘアスタイルには興味はありました。中学生の頃から自分の髪は自分で切っていました。すごくぐちゃぐちゃでしたが。当時は、鈴木蘭々さんみたいな髪型にしたくて、ずっとショートカットにしていました。今思うと、髪質が違うので、同じようにはできなかったのですけど(笑)。

――専門学校ではどのように過ごしていましたか?

浦:真面目に毎日通っていました。でも、授業中に絵ばかり描いて怒られることもありました(笑)。専門学校に通いながら、美容室でバイトをして、シャンプーなどの手伝いをしていました。学校に行きながら美容室で働いていたので、卒業するときは美容師になりたい気持ちが強かったです。美容学校卒業後は、すぐに東京に出て、就職して美容師になりました。

――東京に出て来るときは迷いませんでしたか?

浦:ちょっとミーハーな部分があって、都会に出たいという気持ちはずっと持っていたんです。当時はテレビや雑誌しか情報がなかったので、そこで見る東京に憧れを抱いていました。

強みである個性的なキャラクターについて悩んだことも

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――美容師になりたての頃のことについて教えてください。

浦:サロン内では奇抜なタイプでした(笑)。当時はシノラー(注:篠原ともえさんを真似したファッション)だったので、一人だけ派手なファッションでした。その分、お客さまには覚えてもらいやすかったですね。強みになっていたんでしょうね。
はじめはそれで良かったのですが、だんだんとそれが不安につながっていきました。奇抜な子だと思われて引かれないかなと考える時期もありました。その頃は「見た目は個性的だけれど、技術はしっかりしている!」と思われるように腕を磨く努力をしていました。

――アシスタントをしていた頃はどのように過ごしていましたか?

浦:最初に入社したサロンで4~5年ほどアシスタントとして勤め、その後は表参道にオープンしたサロン「FLOWERS」のスタイリストとして働きはじめました。その頃は迷いがありましたね。こうした個性的なキャラクターだと、特定の人しかお客さまとしてついてくれないのではないかと……。

それで少しナチュラルな格好をしていた時期がありました。一般の人よりは派手かもしれないのですが、好き勝手に着飾るのをやめて、ハイトーンではない髪の色にして。そういう時期が2年くらいありました。

当時は、人とのコミュニケーションにも悩んでいました。元々初対面の人とコミュニケーションをとるのが苦手なんです。話すのが下手なんですね。見た目が派手で引かれてしまっては、コミュニケーションをとるうえでマイナススタートだと思ったんです。だから、ナチュラルな格好をすることによって、初対面のときに引かれないのではないかな、親しみやすいのではないかなと思いました。あとになって、そこが問題ではなかったと気付くのですが。当時はそう思っていました。

でも、自分を抑えていただけなので、売り上げの目標が達成し、コミュニケーションがとれるようになった頃には自然と元の格好に戻っていました(笑)。ただ、抑えていたことも意外に慣れるものなんです。ナチュラルな格好をしつつ、そのなかで好きなものをいろいろ見つけていました。だから、早く前の格好に戻したいと思っていたわけでもないんです。

――初対面の人とのコミュニケーションが苦手ということですが、スタッフ間のコミュニケーションはいかがですか?

浦:スタッフとは大丈夫ですよ。いつも一緒にいるメンバーなので。いつも来てくれるお客さまだと平気なのですが、新規のお客さまだと当時は難しかったですね。相手を理解したいと思っているのですが、話の聞き出し方が下手でした。仲良くなる方法がわからなかったんです。

今も美容室から一歩外に出ると、初対面の人とのコミュニケーションは苦手ですね。悩んでまではいないですけど、得意だとも思っていないです。社交的かと言われるとそうでもないですね。

何もないところからスタートする難しさと面白さ

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――「FLOWERS」の別ブランド「otope」が立ち上がり浦さんは代表になられましたが、大変だったことはありますか?

浦:やはり、お店全体の管理を全て一人で行うのは大変ですよね。「FLOWERS」のときもディレクターだったので業務内容的には近いことをやっています。でも、前は社長がいたり、店長がいたり、ほかにも自分と立場が近い人がいたり、私だけではなかったんです。みんなで話し合いながら進めていました。でも、今は一人です。全部、自分の責任で決めなければいけません。「これ、どうかな?」と迷ったときに聞く相手がいないので、時々不安になりますね。

あとは、何もないところからスタートする難しさを感じています。ブランドを構築して、そのイメージを世の中に広めるのは、オープンして3年たった今でもすごく苦戦しています。認知してもらうのはなかなか難しいですね。

――日々の業務では、どんなことを大切にしていますか?

浦:今は、アシスタント全員のことをしっかり見ないといけません。指導やケアを含め、最終的には私が全責任をとります。そのためにはきちんとスタッフのことを知らないといけないので、「最近どうなの?」とみんなに聞くようにしています。何か溜め込んでいるときもあると思うのですが、溜め込んだものが大きくならないうちにコミュニケーションをとるようにしています。

――アシスタントのみなさんから話を聞いて、はじめて知る意外なことはありますか?

浦:良くも悪くも意外なことだらけです。すごく大変そうだなと、こちらが心配していることを実は何も気にしていなかったり、気にしないでいいようなことに大きく悩んでいたり。
今、私は39歳なのですが、アシスタントのなかには20歳の人もいます。それだけ年齢差があると価値観も違います。アシスタントとスタイリストの違いもあるし、男と女の違いや育った環境の違い、前にいた職場環境も違います。そのズレみたいなものには、良くも悪くもびっくりするときが多く、面白いですね。

――浦さんはヘアショーなども積極的に行われていますが、自分を表現することはお好きなのでしょうか?

浦:自分の好きなことを発表できる場なので、ヘアショーは大好きです。作品づくりも好きですし、演出も好きです。音も作りたいし、衣装も作りたい。全部やりたいんです。でも、自分が登場するのは苦手ですね。前に出たい気持ちはあるんです。でも、人前に出るのは嫌いです。矛盾していますが……。人前に出るとめちゃくちゃ緊張します。出た瞬間引っ込みたいくらいです(笑)。

それから、絵を描くことも好きです。自分を表現できるし、構成も自分で考えられる。そして、絵なら、人前には出なくていいので。

――インスタグラムにも作品をあげていますよね?

浦:インスタには、写真や画像を組み合わせて作るパラパラ漫画のような動画をあげています。インスタは自分を表現できる場として、ちょうどいいんです。そこまで大げさではなく簡単な作品をあげられます。テンションがちょうどいいですね。でも、インスタに自分の写真を出すことはほぼないです。あるとしたら、記念撮影くらい。

――インスタにあげている作品のなかで、お気に入りの作品はありますか?

浦:ショーのときに撮影したフォトで、気に入っているものがあります。このときは、ステージにいる人に赤い帽子をかぶせました。私集団で制服を着てビシッとしている感じが好きなんです。「右に行け、左に行け!」といったらビシビシッとそろう感じが好きです。あとは、集団のデモのようなものも好きですね。その2つの要素を組み合わせた作品です。

 

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この作品もプラカードを持たせてデモっぽくしています。書かれている文字に深い意味はないんです。ただ読んだときの音や文字の雰囲気が好きで使っています。
私は被写体の感情やストーリー性を作品に出したくない。モデルなどの思いが入らない、冷ややかな作品が好きです。モデルの出した雰囲気や生っぽさを全部消したいんです。だから笑っている写真はあまりないですね。舌を出したり怒ったりというポーズをとっている作品もないです。お面みたいなイメージです。だから、すごく狭い範囲で作品を作っている気はします。でも、その分テーマは一貫していると思っています。

――どのようなときに創作アイデアは思いつきますか?

浦:アイデアのイメージは、手や体を動かしているときに思いつきます。絵を描いているときにさらなるアイデアが浮かびます。それから、最近は健康維持のためにスポーツジムにも通っているのですが、筋トレしたりマシンで歩いたりしているときにも思いつきます。

――忙しい毎日だと思いますが、絵はいつ描かれるのでしょうか?

浦:朝ですね。朝の方が眠くないので。9時くらいに家を出るのですが、その3時間前には起きて絵を描いています。出かける準備は1時間で終わるので、残りの2時間は趣味の時間ですね。インスタに載せているパラパラ漫画も朝に絵を描いて、夜にパラパラ漫画にするための動画作成をしています。昔は夜型だったんですけど、朝型に変えて作業がはかどるようになりました。

――朝型にした理由はありますか?

浦:疲れが出るようになったので、ジムに通って体力づくりをはじめたんです。すると、朝起きられるようになりました。ジムには週2~3回のペースで1年半ほど通っています。美容室の帰りに寄ります。

新しいことを探すこれからの20年

「otope」の代表として活躍されている浦さやかさんのインタビュー模様

――「otope」は、2018年11月に表参道から原宿へ移転ですね。新しいお店について教えてください。

浦:壁などは自分たちでペンキで白に塗りつぶしました。椅子も白ですね。以前の表参道のお店よりも真っ白で無機質に近いです。

以前はスタイリスト2人、アシスタント2人の合計4人だったのですが、現在はスタイリスト1人、アシスタント2人が増えて合計7人になっています。ネイルとアイラッシュも行うようになったので、そのスタッフを合わせると8人ですね。

今までの「otope」は表参道にありながらも原宿系の客層でした。今回は、原宿に来ての挑戦ということで、本当に頑張らないといけないなと思っています。仕事は楽しみながら行いたいですが、お店も忙しくして、しっかりとしていきたいです。やはりお店が忙しくまわらないと、いろいろ楽しめないですからね。

――育てられる側から若い人を育てる側へ変わっていくと思います。そんなとき、浦さんが意識していることはありますか?

浦:個性を伸ばすことを重視していますね。全部を伸ばそうと思っても人それぞれ違うので、どこが伸びるかを見極めるようにしています。得意なところをガンと目立たせる方が今の時代に合うと思っています。私自身が美容師になったばかりの頃はバランス良く全てをこなさなければいけませんでしたが、徐々に個性を生かして伸び伸びとさせてもらえる環境に変わったのはすごく良かったです。その経験を振り返ると、最後はやっぱり個性だと感じています。もちろん基本的な技術は大事ですが。

――浦さんが美容業界に対して感じていることや思っていることはありますか?

浦:よく聞かれるのですが、自分のことやスタッフのことで精一杯で考える余裕はないんです。ちゃんと自分のことができていなければ美容業界も語れないと思っています。語る余裕ないなっていうのが正直なところですね。年齢的には、語らないといけない立場なのかもしれないですが……。

ただ、若い人たちの勢いは美容業界を盛り上げると思っています。だから、20代の若手が頑張れるような環境を作りたいですね。その方が業界も盛り上がると思うんです。古い人たちがずっと何かをするよりは、若い人たちがどんどんおもしろいことをやる環境が作りたいです。

――最後に、今後の目標について教えてください。

浦:小さくまとまらずフットワークを軽くして、いろいろ挑戦していきたいですね。私は来年40歳になるのですが、20年おきに何か1つプロを目指したいという目標があるんです。もちろん「otope」もやりつつ美容師もしつつですが、20歳から40歳までは美容師を極めたので、40歳から60歳、60歳から80歳、80歳から100歳と、何か別のものを目指したいです。だから、ジムで健康を維持しているというのもあります。足腰を強くして健康な体を作ったら100歳まで元気に常に何かを目指せると思うんです。

――具体的に目指したいものはありますか?

浦:40歳から60歳は、絵を描くのが好きなので、イラストを使ったプロになりたいです。漫画も良いなと思います。その先はまだ考えてないのですが、次の20年でさらにやりたいことは絶対出てくると思っています。そうしたら、また60歳から80歳まで何かをはじめたいですね。その次にチャレンジすることを20年かけて見つけられたらいいなと思っています。なので、やはり健康は大事ですね。

あと、今は自分のブランドを持つという最初の目標が「otope」でクリアできたので、達成感があります。小さくガッツポーズしています。それというのも、まだ助走期間の3年間が終わったばかりだと思っているので、さらに「otope」を大きくして、将来大きくガッツポーズできるように頑張りたいです!

※このインタビュー記事は2018年10月の取材に基づいています。
※記載内容はインタビュー当時のものとなりますのでご了承ください。


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