ヘアスタイルのみならず、コスメやファッションでも注目を集める「Violet」の人気美容師MANAEさん

【Violet MANAE】プロゴルファーを目指していた少女が、流行をつくる側になった理由

美容師として確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている業界トップの方々へのインタビュー。美容業界でのこれまでの仕事の取り組みや、未来についての展望、美容師さんたちへのメッセージをうかがいました。

【プロフィール】
MANAEさん:ブライダルプランナーを目指して入学。途中で美容師志望に転向し、卒業後は横浜の美容室で働く。2016年からは、Violetに勤務。ヘアスタイルのみならず、コスメやファッションでも注目を集め、10~20 代の女性ファンが多い。Instagramでは5万人以上のフォロワーがいる。
Instagram:@manae_violet

美容師としての技術も意識も成長したVioletとの出会い

――MANAEさんはガーリーなファッションが印象的ですね。

MANAE:女の子っぽく見られるのはうれしいですけど……性格がまったく女の子っぽくないので、しゃべったらバレてしまいますね(笑)。新規でいらっしゃったお客様は、私に対して“ゆるふわ系女子”の印象を持っている方が多いみたいです。でも、常連のお客様にはズバズバ言うことがあります。

――ギャップを感じます(笑)!

MANAE:女の子って、辛口系が好きみたいですね。お客様とも素のままの性格でしゃべるようにしていると、よく「こっちのほうがいい!」と言われます。ゆるふわ系女子にはしゃべりにくいのかもしれません。お客様から友達みたいに、なんでも話してもらえるように意識しています。

――Instagramには、スタイリング動画だけでなく、メイク動画もたくさん投稿されていますよね。美容師になる前から、美容に興味を持っていらっしゃったのですか?

MANAE:メイクに興味を持ち始めたのは、高校生のときです。小学生から中学生までは、父親の影響でゴルフをしていました。ずっとプロゴルファーを目指していました。スポーツ系だったんです。まったくメイクもしないし、髪はショートヘア。自分の身だしなみに対して興味がありませんでした。

――今とは正反対ですよね。なにか変化のきっかけがあったのでしょうか?

MANAE:友達にメイクを教えてもらったことです。仲の良い友達が、それまで普通の子だったのに、突然メイクが派手になってギャルになりました。それで「MANAEもやりなよ!」って言われて、私もメイクをしてもらったんです。

そこで、メイクにハマりました。たとえば、眉毛を描くとか、カラコンを入れるとか、アイランを引くとか、たったひとつのことでこんなに変わるんだって、衝撃を受けました。
「私も女の子になれるんだ!」って思いました。髪の毛も伸ばすだけで印象が違う。メイクに目覚めて、つけまつげとかカラコンとか、やり始めたら止まらなくなってしまいました(笑)。
その後、雑誌でギャルサークルの特集を見たのがきっかけで、友達を誘ってギャルサーに入りました。当時、私立の高校に通っていたのに、ギャルサーに入ったんです!

――すごいですね。

MANAE:でも高校が厳しかったので、夏休みと冬休みだけ金髪にしていました。黒ギャルではなく、ただの白ギャル。私が入っていたとき、ギャルサーは全盛期で20人くらいいたかな。そこでメイクのことをたくさん学びました。その頃のメイクでは、今よりも二重幅が広くて、つけまつげを4枚くらいつけていました。今思うと、すごい技術だったんですよ!

――そこからどうして美容師に?

MANAE:将来は美容関係に進みたいと考えていました。専門学校のオープンキャンパスに行ったとき、ブライダル科のショーを見て、いいなと思ったんです。だから、美容学校もブライダル科を受けました。

もともとは美容師を目指していなくて、ブライダル業界を目指していました。でも、ブライダル業界では美容師の国家資格を持っていたほうが活躍できると聞いて、先に国家資格を取ろうと考えた結果、美容科に転入しました。そこから美容師になったのは、専門学校で学んだときに、楽しかったのがきっかけです。

――専門学校を卒業してから、現在のVioletに就職するまでに、どのような経緯があったのでしょうか。

MANAE:美容師として就職するとき、初めは都内で働こうと思っていましたが、あえて横浜に就職しました。そのほうが早くデビューできると思ったからです。都内に就職すると下積みが長い分、デビューが遅くなります。まずは横浜で早めにデビューして、その後に東京に行こうと思って、就職しました。

――地域によって、デビューのタイミングに違いがあるんですね。

MANAE:特に、私が就職した6年前は今よりもアシスタントの下積みが長い時代でした。今はアシスタントも早くデビューしたがっているし、リクルート的にもデビューが早くなっていますが、昔はもう少し遅かったんです。
横浜にある大きなサロンに就職して、そこで3年間分のカリキュラムを2年間で全部終わらせました。休みの日も出勤して、朝は一番早く来て練習して、夜も一番遅く帰って……ずっと練習していました。その頃、最初に勤めたサロンの店長が独立したんです。そこで新しいお店について行って、スタイリストデビューしました。

――実際にデビューしてみていかがでしたか?

MANAE:スタイリストとして何カ月か働いて、自分の力で売り上げも立てていました。当時はまだInstagramなどのSNSが流行っていない時期でした。サロン予約サービスの利用が流行っていたので、そういう媒体を使って集客して。
デビューしてから、やはり東京で就職したいと思い始めて、都内の気になる美容師さんのところにカットやカラーをしに行くようになりました。その1人が、私の師匠であるViolet代表の前原です。

自分が美容師であることは言わずにお店へ行ったのに、結局は前原に美容師だとバレて「都内に来る気はないの?」と聞かれました。そのときの会話の流れでインスタの話題になり、自分のアカウントを見せたんです。当時の私はインスタで顔を出していなくて、スタイル写真だけ投稿していたのですが、前原に「なんで顔を出さないの? 顔を出したほうがいいんじゃない?」と言われて。
前原に言われた通りにインスタに顔を出して、新たにアレンジ動画を始めました。すると、それまで2,000人くらいだったフォロワーが、1週間で8,000人くらいまで一気に増えたんです!

――それは驚きますね!

MANAE:顔を出したら変わった!「この人の言うことを信じてついていったら、良い方向に進むのかもしれない」と思いました。その後もVioletに通ったり、前原のセミナーに行ったりするうちに、ここがどんなサロンなのか、代表がどんな人物なのかが分かってきました。あるとき前原からVioletがスタッフを募集していると聞いたので、入社することになりました。

――Instagramのフォロワーが現在の数になったのは、Violetに入社してからですか?

MANAE:そうです。横浜のサロンから都内に来ると決まった段階では、フォロワーが2万人くらいに増えていました。それから、Violetに来てから1年くらいで4万人。今では5万人ですね。最近は忙しくてなかなか更新できていませんが、その当時はフォロワーがすごく増えました。

――東京でVioletに入社してから、横浜とはどんな違いがありましたか?

MANAE:東京と横浜では、技術が違いました。私はスタイリストとして中途で入社しましたが、ほぼ一から技術を勉強し直しました。
アシスタント時代の下積みも大変でしたが、それよりもVioletに入社したときが大変でした。アシスタント時代はデビューまで休まず練習したり「モデル100人カット」で新規のお客様を100人カットしたり。すごく忙しかったのですけど、だからこそ今があると思うと、そんなに苦労をした感じはしていないんです。

でも、ある程度叩き込まれている自分の技術を、また一から見直すのは、すごく大変でした。まだなにも知らないアシスタントの状態から学ぶのは簡単ですが、すでに自分のやり方があるなかで新しい技術を取り入れるのは、結構な時間がかかりました。

――大変でしたね。

MANAE:衝撃でした。横浜のサロンではやったことのない技術もありました。たとえば「ブロー」。店舗にもよるのかもしれませんが、もともと私が働いていた横浜のサロンでは、ブローをしないんです。たまにブローをすることがあっても、毛先をくるんとするような、簡単なブローだけ。ほとんどブローをしなくて、ノンブローでおさまるカットをしていました。

Violetに入社して初めて、「今日はブローをしてみて」と指示されて、「ブローってなに?」と思いました。私と一緒に入社したアシスタントの男の子は、前にも都内のサロンで働いていたから、ブローができるんです。でも、私はブローをしたことがないし、ロールブラシは専門学校を卒業してからほとんど触っていないから、まったくできませんでした。東京のサロンでは、お客様全員にブローをするのが当たり前。それが一番、横浜とのギャップを感じたところです。

横浜のサロンでは、カット+カラー+トリートメントのメニューがあったら、1時間半~2時間で仕上げる。東京のサロンでは、カット+カラー+トリートメントで3時間は取っています。ブローは時間のかかる作業なので……。その分、値段の違いもありますね。横浜の値段はだいたい東京の半額。
今では当たり前のようにブローをしていますが、最初は「どうしてブローをするんだろう? ブローはしなければいけないの?」と思っていました。

――そこまで時間をかけてブローをすることで、どんな違いがあるのでしょうか?

MANAE:ブローをすると、仕上がりがすごくキレイになるんです。ウェットカットした後の仕上がりがキレイに見えるし、カラーをした後はツヤが出ます。お客様への見せ方として良いですよね。鏡の前で髪の毛を乾かされて、その後にまだカットする段階だとしても、キレイになっていたほうがお客様に安心していただける。
それに、ブローをしていない状態でハサミを入れるよりも、ブローでキレイにした状態でハサミを入れるほうが、美容師としてもカットしやすいんです。たしかに時間のかかる技術ですが、相応の価値があるのだなと思うようになりました。

――横浜から東京へ出たからこその経験ですね。

MANAE:中途で違う地域へ就職したスタイリストにしか分からない違いかもしれませんね。それぞれのサロンのやり方やスタイルは、どこへ行っても違うと思います。Violetは雑誌の仕事も多いので、雑誌で見せるスタイルの作り方などは、このサロンに来てから学びました。

メイクもスタイリングも、流行らせる側の視点で考える

ヘアスタイルのみならず、コスメやファッションでも注目を集める「Violet」の人気美容師MANAEさん

――MANAEさんは、Violetのスタイリストとしてはもちろん、ご自身のInstagramでも、メイクやファッションを発信していることが多いですよね。やはりコスメやお洋服はたくさん持っていますか?

MANAE:Violetのスタッフのあいだでも有名なくらい、コスメも洋服も大量に持っています(笑)。
買い物が大好きなので、休日にはよく買い物に行きます。インスタでの活動もあるので、コスメを試しています。また発表会に呼んでいただいて、全種類プレゼントしていただくこともあります。自分で気になったコスメがあれば、購入もします。

メイクは服に合わせて変えています。「ブラウン系の洋服だから、メイクはオレンジ系にしようかな」とか。いつも違うアイテムを取り入れて、お客様から「どこのコスメを使っているんですか?」と声をかけていただけるようにしています。

――コミュニケーションのきっかけになるんですね。

MANAE:ネタになりますね。それに、自分のお客様だけでなく、ほかのスタイリストのお客様に「今日、MANAEさんを見かけました!」と言われることもあるから、どこにいても気を抜けません。インスタでフォローしていただいているお客様がいると、ほかのスタイリストから呼ばれて「MANAE、今あいてる?」と呼ばれて、仕上げに顔を出しに行くこともある。
だから、営業中にリップが落ちているなんてことは絶対にないです。常にコスメを持っていて、一瞬のすきに直す。忙しい時期には難しいこともあるけど、いつでもメイクの話になってもいいように、意識しています。

――営業とプライベートでのファッションは分けていますか?

MANAE:基本的に分けていないです。でも、プライベートでしか着ない服もあります。プライベート用の服が何着かあるくらい。

――ファッションで気を使っているポイントがあれば教えてください。

MANAE:表参道で勤務することになったときから、出勤するときは基本的に家でメイクとヘアスタイルを全部仕上げています。見られていることを意識しています。
洋服は汚れているものは着ません。私はカラーのお客様が90~95%とかなり多いので、営業中は基本的にエプロンをしています。だからそんなに汚れることはないのですが。もしも汚れている服を着ているスタッフがいたら、声をかけて注意するくらい、汚れているのが嫌いです。服はキレイなものを着ますし、流行を取り入れたいと思っています。

「その洋服、かわいいね」という会話から、お客様とのコミュニケーションに入りたいんです。私自身も、お客様がかわいい服を着ていたら「その服はどこのショップのですか? かわいい!」という声がけから入ります。常連のお客様がいらっしゃるときは、前回いらっしゃったときに着ていた服を思い出して、違う服を着るようにしています。

――ちなみに、メイクはどのように勉強されているのでしょうか?

MANAE:ほぼ独学です。雑誌が好きなのでよく読んでいますが、新しいメイクを自分で考えることが多いですね。新作コスメが出たら、とりあえずお店へ足を運びます。実際に使ってみて「このコスメはこういうふうに使ったら、かわいいな」と考えます。
メイクもスタイリングも、私は流行らせる側だと思っています。もちろん、お客様から「流行の髪型にしたい」というご要望があったら、その髪型にできるようにしておかなければいけません。

雑誌にもスタイリングの企画を出していて、新しいスタイリングを考える側として活動しています。基本的に、すでにあるスタイリングを真似するよりも、新しくやってみている。代表の前原のスタイリングを見て、取り入れることもあります。

――スタイリスト同士で意見交換をすることもありますか?

MANAE:Violetの内部では、普段から「これ知ってます? 今流行りらしいですよ」と話をしています。今年はどんなものが流行っているか会話しますし、毎月ミーティングもしています。

――流行を作る側になると、意識が大きく変わりますね。

MANAE:横浜で働いていたときにはあまり考えたことがありませんでしたが、東京に来てからは考えるようになりました。雑誌の企画を担当して、流行は自分たちで考えていくんだなと実感しました。

――横浜から東京に来たことで、その点も変わったのですね。

MANAE:考え方が変わりましたね。最近は「ベアージュ」という言葉を作りました。「ベアー」と「ベージュ」を合わせて、ベアージュ。クマ(=ベアー)みたいに柔らかいベージュのヘアカラーのことです。
自分でベアージュと呼んでいたら、私のお客様だけでなく、ほかのスタイリストのお客様も「ベアージュに染めたい」と言ってくださるようになったんです。
私が考えたベアージュは、女性ファッション誌『ar』2019年2月号に掲載させていただくことになりました。これからも、流行を作る側になります!

お客様の要望は言葉のやりとりでしっかり確認

ヘアスタイルのみならず、コスメやファッションでも注目を集める「Violet」の人気美容師MANAEさん

――今、多くのお客様がMANAEさんを指名してご来店されていると思いますが、お客様のスタイリングではどのようなことを大切にしていますか?

MANAE:初めてのお客様には、まず悩みを聞くようにしています。髪型やメニューのご要望が特になければ、「悩みはありますか?」と聞いてみます。すると、だいたいのお客様は、顔の形とか、髪質とか、ダメージとか、巻いたときに動きが出ないとか、今、悩んでいることがあるんです。そこから「では、今日はその悩みをひとつ解決する髪型にしましょう」と提案します。

たとえば、お客様の一番の悩みがダメージだとしたら、カットをご希望でのご来店だとしても、カットしないことがあるんです。初めてのお客様のなかには、私に会いに来てくださっただけの、若い人もいるんです。Violetはリーズナブルなわけではないから、カットをしてさらにトリートメントをすると、料金が高くなってしまいます。だから、お客様が髪を伸ばしているところだったら、「今日は前髪カットだけにして、トリートメントをしていったら?」と提案します。

もしも髪の毛が広がるのがお客様の一番の悩みだとしたら「今回のカットではあえて動きを出さずに、髪がまとまるように切りましょう」と提案します。また、今の長さだと髪の毛が広がってしまうから「今回のカットでまとまるようになったら、次回は動きを出すようにカットしましょう」と提案して、1回目のご来店では、とりあえずお客様の悩みを解決します。

また、お客様の普段のスタイリングに合わせて仕上げるように心がけています。「いつもスタイリングをしますか?」「何ミリのコテを使っていますか?」「どこのコテを使っていますか?」「お風呂は夜と朝のどちらに入りますか?」「スタイリング剤を付けますか?」と、お客様に質問してから、仕上げるようにしています。

――MANAEさんがお客様とのコミュニケーションをいかに大切にされているかが伝わってきます。常連のお客様との関係については、いかがでしょうか?

MANAE:横浜のサロン時代からのお客様で、ずっとVioletに来てくれている方も何人かいます。私がデビューする前から、もう5年くらいの付き合いになるお客様は、横浜の端のほうから、遠いのに来てくれていて。そのお客様は、わざわざ遠いところからずっと通っている理由について「MANAEさん以外に任せられなくて」とおっしゃってくださいました。
「MANAEさんが名古屋の店舗に出勤していなかったり、雑誌の仕事でいなかったり、どんなに都合がつかなかったとしても、誰にも髪に触れてもらいたくないんです!MANAEさんに全部お任せです」と。

「ええっ、そんなに思ってくれていたの!?」と思いました。たしかに、そのお客様は私が提案したことを全部受け入れてくれました。パーマをかけると言って来店したのに「パーマは無理、今の状態の髪では、かけられないですよ」と私が拒否することもあるんです。それでも受け入れてくださいます。

――すごい信頼関係ですね。

MANAE:その後に「今ならパーマをかけられますよ」と言ったら、お客様が「じゃあ、かける!」ということで、パーマをかけました。信頼していただけて、すごくうれしいなと思っています。

――MANAEさんのお客様はカラー率がとても高いですよね。カラーが得意になったのはなぜでしょうか?

MANAE:理由は特にありませんが、カラーはご好評いただいています。開催するセミナーの内容も、カラーばかり。
私はお客様の髪を見て、履歴を見て「こういう髪だからちょっとこれを入れて、毛先にはこれを混ぜて……」と色を作る、感覚派です。カラーリストさんたちは、「〇〇毛質だから、○○%のこれを入れて……」とすごく理論的ですが。それでも感覚派でうまくいっているから、合っているのだとは思います。

カラー率が高いのは、Instagramで発信しているという理由もありますね。私のアカウントは基本的に、メイク動画とアレンジ動画と自分の顔を通常投稿して、カラーはストーリー機能のほうで投稿しています。ストーリーは2万人くらいの人に閲覧してもらえるから、そこで「こういうカラーがかわいいですよ」と動画を投稿し続けたら、カラー率が上がりました。インスタの宣伝効果もあると思います。

私のお客様は、カラーもお任せの方がほとんどです。明るさのレベルに関しては「仕事があるので暗めで」とか、反対に「もっと明るくしたい!」とか、ご要望があります。そのなかで、色味は私が決めることが多いです。

――お客様から色のご要望があるときはいかがですか?

MANAE:カラーのカウンセリングでは、チャートや雑誌をあまり使わなくて、言葉でやりとりをします。たとえば、お客様から「ラベンダーアッシュにしてください」とご要望があったのに、お客様から参考に見せていただいたInstagramでは、画像の髪色がラベンダーアッシュではなかったりする。一般のお客様には、色の名前が分からないと思います。でも、私たち美容師からすると「これは違うな……」と。

――ネットで誤った情報が拡散されている?

MANAE:インスタは、ハッシュタグを固定して投稿している美容師さんが多くて。ラベンダーアッシュ、グレージュ……のように決められたハッシュタグを、いろいろな写真にコピペで貼っている。そうすると、ラベンダーアッシュとは違う髪色の写真にも、ラベンダーアッシュのハッシュタグがつくことがあるんです。
だから私は、「ラベンダーアッシュがいいですか? それとも、この画像の髪色がいいですか?」と確認するようにしています。それから、同じ画像でも光の当たり具合によって違いがあります。光の当たっているところがすごく明るくて、当たっていないところがすごく暗かったら、そこも詳しく確認します。

――サロンで美容師さんに参考の画像を見せることがよくありますが、美容師さん側から見ると、お客様がその画像のどこに良さを感じているのかが重要なんですね。

MANAE:そうですね。ほかにも、髪色を暗くしたいお客様が、明るい髪色の画像を持ってきたりするんです。私が「髪色を明るくしたいんですね?」と聞くと、「暗くしたいんです。これ、明るいですか?」と言われることも結構ありました。だから、最初にお客様がその色に染める意図や、理由を聞くようにしています。

――お客様は専門家ではないから、カラーのイメージが分からないですものね。

MANAE:カラーの仕上がりは、同じカラー剤を使っても、画像とまったく同じ色にはならないんです。1回では、要望に近い色をどうしても出せない場合もあります。そのときは、理想の色に近づけるために、今回はどうするかを提案します。少し無理があってもできるだけ画像に近づけたほうが良いのか、それとも色をキレイに出すことを優先したほうがいいのか。言葉でやりとりをします。

施術してみて、もしもお客様が「思っていた色と違う」という反応をしているときは、「どこが違いますか?」とお聞きします。そこでお客様が「もっと明るくしたかった」と言っていたら「今回は明るい色になる薬も混ぜているから、2~3日後にはこれよりも3トーンくらい明るくなります」と説明すると、納得していただけます。お客様がどうしても言葉だけで想像できないときは、インスタで検索して「こんなイメージでどうですか?」と伝えることもありますが、基本は言葉です。

夢は美容師として自分のブランドを持つこと!

ヘアスタイルのみならず、コスメやファッションでも注目を集める「Violet」の人気美容師MANAEさん

――スタイリストとして日々の業務で大切にしていることはありますか?

MANAE:サロンワークでは、怒らないことですね。私はあまり怒らないし、イライラしない性格です。営業中は基本的に怒らないし、お客様や営業中のスタッフには、ずっと笑顔で接します。
昔は、お客様の前でアシスタントを叱るスタイリストもいました。営業中にスタイリストの機嫌が悪くなって、イライラしているのが伝わってくるから、アシスタントがヘルプに行きたくなくなることもあります。

私はそういうのが嫌だし、お店の雰囲気を崩したくないと思うので、営業中は基本的に怒りません。お客様の見えない裏で注意することくらいはありますけど。そういうスタイリストがサロンに1人はいないと、アシスタントがやりにくいかなと思っています。
それから、職場の話は、同じ職場の後輩や先輩にはしません。職場とは関係のない友達には、職場のことをしゃべってもなにも分からないから、いいのですが。お店について思っていることは、代表にしか言っていません。グチグチ言うのは嫌だなと思っています。

――MANAEさんから見て、今の美容業界はいかがでしょうか?

MANAE:昔よりも、直接学ぶ場が少なくなってきたと思います。カリスマ美容師ブームがあったときは、カリスマ美容師の話を聞きに行く美容師さんが多かったですね。カリスマ美容師軍団の「TOKYO BLEND」というチームがあるのですが、私は学生の頃からその人たちに憧れていました。
今はWeb媒体も多いですし、Facebookで開催されるオンライサロンも多いですし、ネットで行われることも多いですよね。美容師さんも動画をアップすることが多いですし。直接話を聞くセミナー自体が少なくなってきているのかな。

――直接教わるほうが良いと思いますか?

MANAE:私は、直接教わるほうが早いと思っています。全部ではありませんが、SNSには嘘もありますし。作られているものだから、偽造もできてしまう。直接聞くセミナーのほうが分かりやすいし、信じられると感じています。

――今、Instagramのフォロワーが5万人以上ということで、投稿するうえでなにか気をつけていることがあれば教えてください。

MANAE:真実を書くことくらいですかね。よくコスメレビューのお仕事をいただくのですが、素直に書きます。あまり受けたくない案件や、自分のカラーに合っていない案件は、受けないようにしています。

――これだけたくさんのフォロワーがいれば、美容師ではなくインスタグラマーとしてもやっていけそうですよね。

MANAE:実際、美容師さんが、美容師を辞めて、ほかの仕事に行ってしまうことがあります。美容師を辞めてモデルやメイクになったり、インスタグラマーになったり。私も最近Instagramのほかに、YouTube公式でもお仕事をさせていただくようになりました。でも、美容師をメインでやっています。だから毎日サロンで働いています。

――それでも美容師を選ぶ理由は、一体どこにあるのでしょうか?

MANAE:Violetの会社にいたほうが、将来的に良いと感じるからかもしれません。Instagramのほうが稼げるのではないかと、よく言われます。でも、私は意外と現実派なんです。これまで師匠である前原の話すことを信じてここまで来ましたし、今でも私のためにやろうとしてくれていることがありますし。そんなに簡単に美容師を辞められないと思います。

当初、私のやりたかったブライダル分野の仕事も、Violetでフォトウエディングプランが始まって、実現しているんです。大きな会社で仕事をして、大きなものになったほうが、自分としては良いですね。会社で仕事をしたほうが大きくなるし、私だけではなく、多くの人もかかわってくれると思うので。

美容師を辞めないのは、美容師の仕事が楽しいと思いますし、今のお店で働くことが楽しいということもあります。このお店では「なんでもできる!」と思います。インスタグラマーになっても、“インスタの中の人”って感じがしてしまうのですが、美容師をやっていれば、いろいろなことができます。インスタ1本にすれば、もっと稼げるのかもしれないとも思いますが、それは今だけかもしれないとも思ってしまいます。

――最後になりますが、MANAEさんの夢を教えてください。

MANAE:夢は、自分のブランドを持つことです! 今のところ、経営には興味を持っていないから、自分でお店を持ちたいという気持ちはあまりないです。自分でモノ作ってブランド化するのをVioletでやれるならベストですね。洋服・コスメ・ヘアケアなど、なんでも自分で開発してみたいです。今も商品開発に携わらせていただいていますが、そこで一からモノを作る勉強をさせてもらっています。

――将来はどうしていきたいですか?

MANAE:女性としての目標では、結婚もしたいし、子どももほしい。でも、相手がいないので、とりあえず見つけたいなというのがありまして……(笑)。仕事をしすぎて休みがほとんどないから、出会いがないんですよね。たまに自由な時間ができたら、自分のことに時間を費やしています。買い物に行って、マツエクをして、ネイルをして……と、そうすると1日が終わります(笑)。

――美容師さんの出会い問題、結構深刻ですよね……。

MANAE:深刻です! 仲の良い女の先輩たちも、みんな「出会いがない!」って悩んでます。だから、みんなで合コンをしようって言っているんですけど、いつも「誰のツテでどこの人と合コンする!?」と話して終わります。

あと、女性美容師の仕事を理解してくれる人が限られていますね。不定休ですし、定休日は平日で、日曜休みではないですし。私は仕事を続けたいので、自分の仕事を理解してくれる人がいい。もしも家庭を持ったら、週に5日くらい働いて、オフは自分の家でブランドの仕事をしたいです。相手がいないので、いつの夢かは分かりませんが、美容師の仕事はずっと続けたいと思います。

――素敵な方が見つかるといいですね。

MANAE:今年、おみくじを5回引いたんですけど、仕事運は全部良かったのに、恋愛運は全部ダメでした(笑)。一緒にいたモデルさんに「今年も仕事をしよう!」って言われました。今はたくさんお仕事をさせていただいているし、自分のブランドも着実に始めたいので、頑張ろうかな。

――楽しいお話、ありがとうございました。


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